相乗効果というんでしょうか、シャワー効果とでもいうんでしょうか。
気が付けば、あたりにはエコカーが増殖。
休日の高速道路の大きなSAや郊外のメガマーケットの駐車場を覗けば、一目瞭然です。

そんな世間の風潮にもれず、ついこの間まで馬力アップを主とするパワー戦争ばかりだった海外勢も、エコな装いを欠かすことはできなくなってきたようだ。

メルセデスやBMWといった欧州を代表するクルマの進化は、飛躍的で世界的に良いモノと判断するやすぐにでも取り込み、そして独自のスタイルで発信している。

だけに、乗ってすぐに、その良さを判別するのは難しい。逆に言えば、それほど技術が発達しているという事。

自動車大国アメリカも、そういった類から漏れることなく、様々な手法でエコなクルマを主張している。

フォードのエクスプローラーは、1990年に同社の本格派4WD車であったブロンコⅡの後継車としてデビューするやいなや、14年間も北米でナンバーワンセールスを記録してきた。北米市場では、エクスカージョンやエクスペディションといった兄貴分達もいて、エクスプローラーはシリーズの中でも、小型に属し、人気があったのだ。

そのエクスプローラーは、価格的には500万円前後と輸入車のSUVにしてはお買い得感ある設定だったにも関わらず、日本ではどちらかというと、かなりマニアックな部類にはいるようで、バブル時代には相当販売台数は伸ばしたものの、近年ではあまり見かけない=販売台数は少なくなってきているようだ。

初代から、幾度となく乗る機会があったエクスプローラーの個人的な印象は、よく走る扱いやすいSUV。抽象的だが、可もなく不可もなく、というアメリカ車という枠を超えて、日本でも乗りやすいクルマ、という意味だ。スクエアなボディは、大きいながらも見切りが良く、4.6リッターという大排気量だが、そこそこ燃費も良い。レンジローバーやゲレンデバーゲンのような複雑な機構もないので、だれでも扱えた。

それは、当時よくやっていたスノーボードをしに行くためのアシとして何度も乗った時のこと、チェーンを巻くために、同乗していた女の子に動かしてもらったのだが、何の戸惑いもなく、チェーン装着場となる駐車場で、支持どおりに動かしてくれた。それを見て安心し、雪道のゲレンデまで彼女に運転してもらったこともしばしば。

そんな印象だったエクスプローラーが、20年目にして4代目となり、欧州のSUVに匹敵する性能でデビューした。

まず驚いたのは、そのスタイル。

言い方がいいのか悪いのか、第一印象は、大きなホンダのCR-V。デザインもさることながら、親しみ感たっぷり。

そして、歴代とは一線も二線も画すような走り。

まるで、フルに電子制御された足回りかと勘違いしそうなまでに、重いSUVボディながらフラットな乗り心地。高速のGがかかるコーナーでも、トリッキーな狭いワインディングでも、スイスイとその巨漢がイメージしたステアリング通りにトレースされる。歴代だったら、すでにリアタイヤが悲鳴をあげていただろうコーナーも難なくクリアしていく。

そして、スケールダウンといっていいのだろうか。これまで4.6のV8をメインどころにしていたエンジンが、3.5のV6に。そのほか、ボディ構造などにも手が入り、燃費は従来モデルより25%向上している。実際に、約500kmの工程を走ったが、平均燃費で10km/l以上。高速道路では、15km/lくらいと、ほんとにエクスプローラー?というほどに燃費が良い。ちなみに歴代は、平均8km/lで、街中のみのユースだと、5km/lなんてこともあった。

エンジンが小さくなっても、加速度は十二分。

新型のエクスプローラーということで、データも見ずに乗った印象では、近年のV8ユニットと思っいた。しかし、データをあらためてみると、3.6? V6?というくらいに、パワフル。高速道路の加速でも、大きなキックダウンを要さなくても、グイグイと加速していく。

また、パワーゲートや電動格納するサードシート、助手席Aピラーに埋め込まれた液晶表示のサイドビューモニターなどなど、これまでの無骨で扱いやすいSUVから近未来の装備を満載したSUVへと変貌を遂げていた。

今一番、クルマの進化を直感的に感じられるのは、もしかしたらアメリカ車かもしれない。