昔、オートバイに乗っていたことがあった。「このバイクさえあれば、どこへでもいける!」と信じていた時があった。どんな道路も自分の思いのままに走れると。

 時は流れて、今はクルマという“箱”に守られた乗り物に満足している。ところが、クルマにはバイクと共通するオープンカーというものがある。全身に風を受け、その土地、そのスチエーションでしか味わえない“空気”をクルマでも感じさせてくれる。。。今日は、04年式のボクスターSを乗り出してみた。

 気温8℃、西からの風は強いが日差しが気持ちいい昼下がり。幌の開閉ボタンを押すと、約25秒ほどでフルオープンになるボクスターS。ミッションは人気のティプトロではなく、マニュアル。1万kmほどを前オーナーが走行しているが、全般的にヤレは感じない。足まわりもエンジンもシャキと感がある。アクセルを踏むと、徐々に回転数を上げ、心地よい水平対向サウンドを奏ではじめる。風は強く、髪が嫌な感じで吹き付けるが、その昔、バイクを乗っていた感覚が蘇る。オープンカーというと、春先を想像するが、たぶんボクの中での感覚は、シートヒーターを全開、エアコンも全開で「なんともいえない心地よい空間」がカラダを包んでくれる、この時期が一番気持ちよいと思う。ボクスターはポルシェのエントリーモデルという位置づけではあるが、これはこれでひとつのちゃんとしたモデル。で、911の半分ほどの価格でポルシェという完成されたスポーツカーを満喫するには十分すぎるほどの性能を持ち合わせている。しかも、オープンという付加価値も付いて。