昨今の経済不況の中、自動車雑誌も何かと経費削減の折、新型車が搭乗しても、派手にロケで撮影を行うことも以前より、めっきり減ってしまっている。
 そんな中で、久しぶりにちょっと派手めなクルマと共に撮影取材に出かける機会に恵まれた。
 早朝から乗り出したのは、今年2月に世界500台限定生産という希少価値を持たせデリバリーが開始されたアルファ ロメオの最高級スポー ツクーペ『アルファ ロメオ8C コンペティツィオーネ』だ。
 世界で厳選されたアルフェスタの人々に購入の権利が与えられ、世界で500台のうち日本への割り当ては67台、そのすべてが完売というほどのレアな1台なのだ。

 エンジンは、4691ccのV型8気筒で、最高出力は450ps(331kW)/7,000rpm、最大トルクは480Nm(48.9kgm)/4,750rpmを発揮。ATモード付6速シーケンシャルの『Q-セレクト』が搭載され、FRで駆動する。ボディ材質にはカーボンファイバーが採用されている。
 これで車両価格は、2259万円。

 さらに、さまざまなオプションが設定されていて、ボディーカラー/インテリアトリム/ホイール/キャリパー/オーディオシステムから各種アクセサリーなど、オーナーの希望に応じて組み合わせられるという『自分だけの』アルファ ロメオ 8C コンペティツィオーネをカスタマイズすることができるというから、日本に存在する67台のこのクルマも個々に違う個体ということになる。

 さて、そんなクルマを乗り出して向かった先は、富士山のお膝元である箱根である。ドアを開け、するりとドライバーズシートに潜り込むと、これまでのアルファロメオと比べて、格段に低い位置に座らされているのがわかる。身幅は広いが、意外と短いボディは、この低いシートポジションのおかげで、街中では少々扱いづらそう。。。しかし、一度走り出せば、そこはスポーツカー。取り回しよりも、走ったフィーリングが大切。

 エンジンスタートは、キーを差込み、パドルシフトのため、本来セレクターレバーのあるはずのセンターコンソール下にスタートボタンがある。キーをひねり、これを押すと、フェラーリ? はたまたランボ? を思わせるほどの始動音がこだます。アルファも5リッター近い大排気量となると、エキゾーストノートも一人前。

 早朝から響き渡るV8の爆音で、一般車はドン引き状態で、ラフな運転でも走りやすく、少々混み始めた環状線から東名高速までは、王様気取りで難なく走りきれた。。。

 高速での加速は、まさに軽快そのもの。6速シーケンシャルの『Q-セレクト』も以前とは比べ物にならないほどに進化している。。。おそらくフライバイワイヤーのアクセルもレスポンス良く、踏み込めば、踏み込んだ分だけの加速を得られるほど。気がつけば、人に言えないくらいの速度域まで、すぐに到達してしまう。
 フェラーリやランボで走る高速道路は、まさに“モーゼの十戒”のごとく、みるみる右車線(追い越し車線)が空くものだが、8C コンペティツィオーネも同様、爆音とアルファレッドの様相で、何処までも前車のいない車線が続く・・・。

 無事、御殿場ICに着くと、外はまさに秋晴れの快晴!
 まだ雪化粧をする前の“すっぴんの富士山”に出会えた。